閻魔

閻魔像 修復

閻魔像の修理完成までの半年間の修理過程をご紹介いたします。

閻魔像は天和2年(1682年江戸時代 時の将軍は徳川綱吉 令和3年から339年前)に製作されたもので、建立当初に集落ではやり病が蔓延し、その終息を祈願し建立されたといわれています。

2021年の修理が建立以降3度目(おおよそ100年に1度修理が実施)となり、このタイミングで集落の閻魔堂からこの正林寺の三門へ移設し安置されました。

修理前の閻魔像は、経年劣化で彩色が取れたり、木が痩せてしまった部分がある状態でした。首飾りもなくなっており、付属品の浄玻璃鏡(現在の罪を移すといわれる鏡)も破損していました。

仏像の底面には、当時の仏師と本願人の記載と過去の修理時期がそれぞれ記載されていました。一時期には、専属の堂守もいる閻魔堂で祀られていたと部落では伝承されており、いかに閻魔像が大切にされてきたのかうかがえます。

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今回の修理では、下地に特に手を掛けた修理をしています。過去の下地の除去、木地直し、洗浄を経て新しい下地を付けていきました。具体的には天然の漆を用いて硬い下地をつくりあげました。こうすることで、木地を保護することができ次回の修理をできるだけ先にすることにつながります。

お椀などに使われるイメージが一般的な漆ですが、時には接着剤として、木地を補強する天然の補強材として様々な修理の場面でも使われています。

■閻魔像の詳細建立 :1682年

工法 :寄木造り

サイズ:高:110cm

    幅:140cm

修復履歴:過去2度の修理を実施

天和2年(1682年)   作成

寛政6年(1794年)   1度目の修復

明治35年寅(1902年) 2度目の修復

■閻魔像と地域の信仰について(なぜ信仰されるのか)

閻魔様は、地獄で死者の生前の罪を裁く神様として信仰の対象と考えられています。加えて、日本国内では、地蔵菩薩(お地蔵様)の化身とされています。怖いイメージを持つ閻魔様ですが、お地蔵様として世の中に目を見張り、人を守る役割をもっていたため、日本全国で閻魔像が建立され信仰の対象とされてきました。

地蔵菩薩はお釈迦様が亡くなってから弥勒菩薩が現れるまでの間、仏様に代わって人々を守る存在とされています。

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